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白洲正子の『夕顔』

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今日のカフェボンボンは、『夕顔』

随筆家・白洲正子が愛する花や骨董、文学、生と死について独特の美意識でつづる。
自然と命が響き合い、生きる喜びにあふれた傑作エッセイ集です。


20130326
夕顔
著者:白洲正子
出版社:新潮社


白洲次郎・正子夫妻が終の住処としたのは、雑木林が残る東京郊外にある茅ぶき屋根の家でした。

どんなに多忙でも庭に草花を絶やさず、訪問客を迎えるときには必ず花を生けた日々。
林や里山を歩きながらいにしえの和歌に思いを馳せ、季節を敏感に感じとったこと。

緑豊かな環境から生まれた作品は、自然と共に生きる喜びにあふれています。

本書の「朝時間」は、病院の枕元に生けられた、一輪のマルメロの花。

白洲さんは花の可憐な姿とほのかな香りに心をうるおされます。
そして翌朝、マルメロの枝がひと晩で葉から露が滴るほどの水を吸い上げたことに気づくのです。

そば猪口に差した小さな花の生命力の強さに、自分の命を重ね合わせるようすに心打たれます。

自然も人も骨董も同じようにあるがまま、まっすぐに見つめた人柄が忍ばれる随筆集です。

*旧白洲邸は東京都町田市の鶴川にあります。
「武相荘(ぶあいそう)」という愛称でいまも親しまれ、一般公開されています。

Love, まっこリ〜ナ


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